盛岡駅周辺は、近代的なビルが建ち並んでいますが、その昔城下町としてその栄華を極めていました。そして、今も明治・大正ロマンの息吹を感じる建造物が大事に使われています。
例えば、日本初の高等農林学校として明治35年に開校し、重要文化財に指定されている洋風建築の「旧盛岡高等農林学校」、登録有形文化財として認定されている昭和2年竣工の「岩手県公会堂」など、他にも建造物の外観デザイン、室内装飾を見ていくとタイムスリップしたような世界を体験できます。
出張中に時間を持てた時には、折角ですから盛岡のノスタルジックな街並みを巡ってみませんか?今回は、中津川にかかる「中の橋」の東岸に位置する、レトロな洋館のご紹介です。
東京駅に似ている「旧盛岡銀行本店」
約91万個のレンガを積み上げて建造されたレトロな外観の美しさを誇っているのが、盛岡銀行の本店として明治44年建造された建造物です。東京駅に似ているのもそのはず、設計者は東京駅の設計者辰野金吾氏。辰野氏と一緒に設計事務所を営んでいた盛岡市出身の葛西萬司氏も設計に携わっています。
盛岡銀行本店として建てられ、その後は岩手殖産銀行本店、岩手銀行本店、同行中ノ橋支店として100年余りの間、銀行として使用されてきました。現在は、ビルの老朽化に伴い修復をしており、2016年春に一般公開される予定です。(工事用シートは外され、外観を見ることはできます)
住所:盛岡市中ノ橋通1丁目2-20
写真:旧盛岡銀行本店
昭和の建築は、今も現役で活躍!
今も銀行として営業を続けている「盛岡信用金庫本店」のビル。こちらも葛西萬司氏設計で、昭和2年竣工の建造物です。元々は、旧盛岡貯蓄銀行として建造された建物で、建物外観の6本の太い円柱がとても個性的なデザインとなっています。花崗岩に施した石彫りのデザイン、館内のステンドグラス、モザイクタイルを埋め込んだ床、レトロでシックなライトなど、まさに歴史感あふれる重厚さを感じるビルです。
住所:盛岡市中ノ橋通1丁目4-6
啄木と賢治の青春群像を観る「もりおか啄木・賢治青春館」
明治43年に第九十銀行本店として誕生以来、金融機関のビルとして長年使用されてきました。レンガ造りの美しいロマネスク風の洋風建築で、市の有形文化財・国指定重要文化財に指定されています。現在建物では、盛岡を背景にした石川啄木、宮沢賢治の青春や文学と、当時の文化などを紹介しています。外観も内部のインテリアも重厚さと上品さが漂っています。
写真:もりおか啄木・賢治青春館
銀行営業室を改装した1階の喫茶室「あこがれ」で休憩されながら、明治大正ロマンに想いを巡らせるのも楽しいでしょう。
住所:盛岡市中ノ橋通1丁目1-25
写真提供:岩手県観光協会